過去ログ - 子供「ツブアンおじさーん!」 ツブアンおじさん「おう」
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32:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/19(金) 13:45:40.98 ID:Bd8/zZkK0
ツブアンおじさん「俺はコーラを飲み干すと、瓶を瓶入れに捨て、ゆっくりと議事堂を目指した。途中、貰ったタバコを箱から一本取り出し、燃える壁から火を拝借して煙を灰に入れた。残りは捨てた。議事堂の中は既に散々な状態で、壁の崩れ落ちる音、あたりの火の燃え盛る音で煩かったんだが、ハヒフヘホー、という咆哮だけはうっすらと、だが俺の耳にははっきりと聞こえた。俺は声のする方向へ歩いた。ゆっくりと歩いた。焦ることはなかった。焦ると碌なことがねぇ」

ツブアンおじさん「議事堂の会議室の扉は既に片方が外れかけていて、中の様子が見れた。中にはヤツが一人でいた。当然だ、俺も一人、ヤツも一人だ、いつだって。まだ形を留めている方の扉を開けると、ヤツがこちらを見て、タバコを一本取り出した。俺が、よう、と言う。ヤツも、よう、と言った。俺達はしばらくタバコを吸った。先に俺が吸い終わる。ヤツも吸い終えた。ゆっくりと近づいて、ヤツの目の前で止まった。黒い肌、特徴的な口元、爛々とした目。俺達は待った。ゴングが鳴るのを待った。俺は、憎いのか、と聞いた。憎い、と一言。お前は、と聞かれたので、解らん、と一言。おそらくあと三秒だ。あと三秒したらゴングが鳴る。三……ニ……一………爆発音。ほらな、解るんだ、俺達は。理由は知らない。理屈も、道理も、愛も、希望も、友情も、勇気も、なにも知らない」

子供「……………」

ツブアンおじさん「一人が倒れる。一人が立ち尽くす。ゴングが鳴った直後のクロスカウンターだ………俺の右手はヤツの顎を綺麗に抉っていた」

ツブアンおじさん「しばらくして、ヤツは笑いながら立ち上がった。俺も笑った。そして、しばらく黙って互いを見ていた。俺がヤツに、名前はあるのか、と聞いた。ヤツはその特徴ある口元をにやりとさせ、いい質問だ、俺の名前を聞いてくれたのはお前だけだ、と。俺の名前は、とヤツが口を開いた瞬間、銃声が鳴った。ヤツの口から血が溢れ出て、ヤツは倒れた。俺がヤツの立っていた方を見ると、さっきの新兵の片割れが硝煙の立ち上る銃を構えて立ちすくんでいた」

子供「やっ…………」

ツブアンおじさん「……フゥー……」






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