100:名無しNIPPER
2016/08/20(土) 09:14:35.48 ID:D33bbYIF0
「夏休みですね」
生徒会長は生徒会長で、短いわけではないが、決して退屈な話をする人ではなかった。
「そういえば去年、高校生の花火の音がうるさい、って、近所の方から苦情が来たんですよ」
堅苦しい話し方はせず、砕けた話し方をする会長は、他学年からも人望を集めていた。
集合してもなかなか並ぼうとしない時でも、この人が指示を出すと、だいたいみんな言うとおりに動く。
会長はあんな人でも、できる人ではあったのだ。
「だから今年のウチの高校は、線香花火だけにしましょう」
壇上から、少し冗談めいた口調で会長がそう言うと、生徒の三分の一くらいが、困ったように笑った。
悪くない雰囲気。集団の前に立つと、会長はすごい人だった。
部長の前に立つとヘタレなのに。勿体無い。
でも以前、部長は、「人前であんだけ話せるってすごいよなぁ」と、会長を褒めていた。
彼のいないところで、だけど。
生徒会長の話が終わると、なんのために歌うかよくわからない校歌を、全校生徒で歌ったり聞き流したりして、それぞれの教室に戻った。
帰り際、女子の先輩と一緒に話していた、部長に出会う。
「暑いねー、熱中症で倒れるかと思ったよ。あ、今日は部活ないからね、部室来ても誰もいないと思うよ」
わかりました、と頷くと、そそくさとその場を離れる。
知らない女子の先輩はなんだか苦手です。
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