過去ログ - 男「ここにいたんだ」
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103:名無しNIPPER
2016/08/20(土) 09:20:04.95 ID:D33bbYIF0

「ちーちゃん見てない?」

「進学講座だって」

「なるほど」

「明日からラジオ体操だね」

「あ、忘れてた……」

「ふふふ」

 少し、二人の邪魔をするのは悪いかな、と思ったけど、二人はすんなりと俺を会話に入れてくれた。

 なんというか。

 こそばゆいというか、くすぐったいと言うか。

 慣れない。
 人との距離感をつかむのが、あまり得意じゃないんです、僕。

 よくよく考えてみれば、俺は集団の中に自分から入っていくことが、あまり得意ではない。

 教室では、いつもユウキがくだらない話を切り出すし、イケメン君が不思議なことを呟いてたりして、それに俺が返事をする。

 部室に行った時も、自分からするのは挨拶くらいで、話しかけられるのを待っている。

 なんだかなぁ。

 別に、それで困っているわけではないのだけれど。

 感覚的に、餃子のタレの中に、ラー油を入れる、みたいな。
 油ってどれだけ混ぜても解けないよね。あんな感じ。

 ……わかりにくいな。

 つまり、そういうことだった。

 三人で並んで、紫陽花の並んでいる坂道を歩く。
 季節外れ。というか、もうほとんど咲いていない。

 背中で聞こえるグラウンドの声は、心なしか、いつもより楽しそうに聞こえた。
 遠くの方から少し聞こえてくる、プレクトラムアンサンブル。



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