12:名無しNIPPER[saga]
2016/08/17(水) 20:41:03.24 ID:cSUEPfQ20
窓の外に目をやると、まだ日は高いようだった。最近は日が沈むのも遅くなってきている。もうすぐ夏だ。
「……あ、いま何時?」
不意に、イチが口を開く。
この部室には、不便なことに掛け時計がない。
「俺腕時計持ってない」
ナナコの方に目をやると、長袖の夏服を着た左腕を軽く捲って、小さな腕時計を確認していた。
「いま5時半です」
「もうそんな時間かぁ……」
「部長来ないと鍵閉められないじゃん」
「だよねー、どうしよ」
下校時刻は6時。それまでに部長が帰ってこないと、鍵を開けたまま帰ることになってしまう。
別にそれでもいいのだけれど、部長は必ず鍵を締めるようにしているので、開けっ放しで帰るのは少し気が引ける。
「……俺、部長探してくるよ」
ここにいてもすることないし、と、椅子を引いて立ち上がる。
「帰ってくるまでに答えを探し出す!」
イチは躍起になっていた。本気になるのはいいことだ。
財布とスマホだけポッケにつっこんで、出入り口に向かう。
「いってきます」
振り返ると、腕を組んで塾考するナナコと、こちらに手を振るイチが見えた。
「生きて帰ってきてね」
……部長は一体何者なんだ。
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