14:名無しNIPPER[saga]
2016/08/17(水) 20:43:39.12 ID:cSUEPfQ20
渡り廊下に続く扉を開けると、ひんやりとした鉄の感触が手のひらに伝わってくる。
扉を開けると、顔に風が吹いてきて、少し目を細めた。
ここ、三階の渡り廊下は、青空天井となっている。つまりは天井がない。
天気のいい日は気持ちよさそうだが、風が強い上に、日差しを直に浴びるので、あまり長居する生徒はいない。
一人を除いては。
そして、彼女は今日もそこにいた。
「やあー」
彼女の「やあ」は、少し滑舌が悪い。目はパッリチ開いているのに、寝起きの人と話しているような気分になる。
「今日もここにいたんだ」
「こなたはここが好きですからねー」
こなた、というのは彼女の前ではない(らしい、そもそも俺は彼女の名前を知らない)。
前に尋ねたら、
「え?」 と、とぼけた顔をされたので、それ以来尋ねたことはない(『こなた』ってのは昔の人の一人称らしい。ウィキペディアに書いてあった)。
まあ変な子なのだ。
ちなみに、名前を聞いても教えてくれなかったので、こちらからも「こなた」と呼んでいる(意味を考えるとおかしいが、そもそもいまの若者で「こなた」なんて使う方も十分変わってる)。
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