過去ログ - 男「ここにいたんだ」
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159:名無しNIPPER[saga]
2016/08/22(月) 14:21:47.44 ID:U4U8jo5Q0
 その後は、追加でカキ氷を三つ注文した以外、ひたすらドリンクバーで粘って、ぐだぐたと中身の無い会話を楽しんでいた。

「セミって、五年くらい、土の中で暮らすんだって!」

 チヨが珍しく胸を張って話していた。
 セミ、好きなのだろうか。

「じゃあ私が中一のときに生まれたセミが今鳴いてる、ってことかぁ」

「じゃあ、私が、えっと……」

「ムギちゃんが三歳のとき?」

「それだ!」

「ハルくん計算早いねー」

 部長は馴染むのが早かった。

 ドリンクをおかわりに立ち上がる。イチも付いてきた。

「トナカイって百回言ってみて!」

「ソリ」

「正解」

 イチは狐に鼻をつままれたような顔をした。

 話し疲れて、なーちゃんがウトウトしはじめた頃、ちょうど部長が「帰らねば」と言ったので、お開きにすることにした。

 チヨが、眠たそうに目をこするなーちゃんと手を繋いで、ハルくんと三人並んで「またね」と手を振った。

 チヨは部長と一緒に帰った。

 ムギちゃんは大きく手を振っていた。

 みんなが帰ると、セミの声だけがやけに大きく響く。
 ムギちゃんと二人、ぽつんと。

「……帰るか」

「うん!」

 麦わら帽子が相変わらず似合っていた。



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