18:名無しNIPPER[saga]
2016/08/17(水) 20:49:35.10 ID:cSUEPfQ20
「チヨが知らないってことは、部長は完全に行方知らずか……」
「ご、ごめんね……?」
いやだから謝ることじゃないって。
苦笑いしながらそう言うと、チヨは「あー……うぅ……」と俯いてしまった。
少し強めの風が、一つだけ開いた窓から入り込んでくる。日に焼けたカーテンがふわりと膨らんで、窓際に佇むチヨの頭を撫でた。
彼女は乱れてしまった髪を左手で押さえながら、窓を閉めた。風が止む。
「生徒会室……とか、どうかな」
チヨが、思いついたように呟く。
「生徒会室」
たしかに。考えてもなかった。
部長は暇な時、生徒会室に遊びに行くことがある。
さっき目の前を素通りしてきたけど、そこならいるかもしれない。
「うん、生徒会室寄って、それから部室に行かない?」
「そうするか」
時刻は五時三十五分。行ったところで何があるわけでもないが、一応顔は出しておきたいのだろう。俺も荷物を置いてきたのでそのまま帰ることはできない。
「……ところで、部長に、何か用事があるの?」
両手でカバンを持ったチヨが、横に並んで尋ねてきた。歩きながら答える。
「あの人いないと、鍵閉められないからさ」
「あー、なるほど……」
チヨがコクコクと頷いた。
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