236:名無しNIPPER[saga]
2016/08/24(水) 22:07:04.83 ID:ifFcB1G70
「うーん、難しい質問だけど」
難しい質問らしい。
「少なくとも、私は、嫌いではないよ」
イチは海に向かってそう言うと、さっきの俺のように、貝殻を投げた。
泡が立って、貝殻が海に沈んでいく。
泡沫。
はかなく消えてしまうものの例え。
今は嫌われていないということに、少し安心する。
でも、いつそれが変わってしまうかは、誰にもわからない。
こう考え始めてしまうと、もうキリがなかった。
日が高くなってきて、ログハウスの方から話し声が聞こえてくる。
イチはしばらく落ち着かなさそうに後ろ髪を撫でていたけど、立ち上がって、「もどろっか」と呟いた。
俺も頷いて、重たい体を砂浜からもちあげる。
「あ、そういえばさ」
イチが振り返る。
「聖徳太子って、実は架空の人物かもしれないんだって」
「へえ」
……案外、そういうものなのかもしれない。
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