239:名無しNIPPER[saga]
2016/08/24(水) 22:16:01.60 ID:ifFcB1G70
車内を見渡すと、ウトウトとしているイチと目が合う。
特に意味もなく頷く。イチも頷き返してきた。たぶん意味はない。
もうすぐ最寄りの駅に着く。
こんな時間が続けばいいのになぁ、と思う。
まあもうすぐ電車は停まってしまうのだけど。そうではなくて、こう、ニュアンス的な。
こういう雰囲気を、保てればなぁ、と。
最近しばらく思っている。
安心できる居場所が、やっとできた。
ねえちゃんと俺だけでは、つくることのできなかった居場所。
家族……ではないけど、なんというか、こう。
なんというか。
言葉にするのは困難を極める。
それくらい脆いのかもしれない。
「どうかした?」
「……え?」
「難しい顔してる」
イチが眠たそうな眼でこちらを見ていた。
「そうかな」
まあ、言葉にできなくても。
「なんでもないならいいや」
「おう」
今はまだ、このままで。
まだ夏休みは残っている。
まだまだやりたいことはあるし、やっていないことがたくさんある。
自転車で遠くに行ってみたり、ユウキ達とバーベキューをしたり。
徹夜で何かしてみたり、カブトムシも捕まえたい。
映画なんかも面白そうなモノをやってるし、そういえば花火大会も、今年はまだ一度も行っていない。
そう考えると、胸が少し高鳴った。
夏の日は長い。
時間はまだある。
329Res/334.42 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。