過去ログ - 男「ここにいたんだ」
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266:名無しNIPPER[saga]
2016/08/26(金) 22:11:26.64 ID:qsBzmbI/0
 そうこうしていると、下流の河原の方から歓声が聞こえてくる。

 コヨミちゃんにつられて空を見上げると、ちょうど一発目の花火が打ちあがっているところだった。

 眩しいくらいの火花が夜空に散って、
 心臓に響くような爆音が鳴り響く。

 すげえ。

 でかい。

 二発目、三発目、と花火は気前よく夜空に飛んでいく。
 打ち上げ場所から少し距離があったので、光と音のタイミングがずれているのが、なんだか不思議な気分になった。

 秒速三百四十メートル。

「すげえ綺麗」

「ですねー……」

 コヨミちゃんも、広い夜空を見上げて、花火を楽しんでいた。

「よかったら、その辺に座りませんか?」

「うん、そうしよう」

 合流するのは後でも問題ないだろう。

 せっかくの花火を流し見するのはもったいない。

 ーーでも、何か忘れてるような。

 コヨミちゃんと二人で、土手から降りる。

 この辺りは花火から離れているので、人はあまりいなかった。
 やろうと思えば、斜めになっている芝生に寝転がって花火を眺めることもできる。

「寝転がる?」

「寝転がっちゃいますか!」

 コヨミちゃんがクスクス笑いながら、芝生の上に体を預けた。

 黒い髪が芝生の上に広がる。

 ちょっと見とれて、何見てんだ、とすぐに冷静になる。


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