過去ログ - 男「ここにいたんだ」
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274:名無しNIPPER[saga]
2016/08/26(金) 22:38:11.30 ID:qsBzmbI/0
 その後は、ふわふわとした足取りで、家まで帰った。
 が、家に入る気になれず、玄関先で座り込む。

 どうしても、さっきの横顔が頭から離れない。小さい背中。人混み。
 ……コヨミちゃんを、泣かせてしまった。

 俺が悪いわけではないのかもしれない。
 俺が悪いのかもしれない。どちらかはわからない。

 けど、コヨミちゃんは、俺が選んだ言葉で泣いてしまった。
 もしかしたら、俺がもっと会話の上手い奴だったら、泣かせることなく、上手に断ることもできたのかもしれない。

 罪悪感。後悔。

 済んだことだ、と自分に言い聞かせる。

 でも。

 たぶん、もうこれまで通りのように、コヨミちゃんと話すことはできない。

 耳を澄ますと、遠くの方から祭りの音が聞こえてくる。
 花火はもう終わってしまったようだが、屋台はまだあるようだった。

 そういえば、迷子になったまま、黙って帰ってきてしまった。もしかしたら、みんな探しているかもしれない。それはないかな。

 ねえちゃんには、もしかしたら友達も話しててはぐれることがあるかも、とは伝えてはある。

 順番は逆になってしまったけど。

 でも、どうしてもまたあの人混みに戻る気にはならなかった。
 またコヨミちゃんと顔を合わせてしまうかもしれない、と考えると、気まずすぎる。

 スマホで連絡すればいいか。

 家に入ればスマホはある。

 なぜかそんな単純なことが思い浮かばなかった。頭がこんがらがっているのかもしれない。

 だが、立ち上がって鍵を開けて、部屋に入ってスマホで連絡する、という動作を考えると、なんだか億劫に思えた。



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