289:名無しNIPPER[saga]
2016/08/28(日) 23:25:07.57 ID:ilA7zgD60
夕方、人が増えてきそうになったので、会計を済ませて、ファミレスを出る。
昼間よりは暑さは和らいでいたけど、それでも、風はまだ熱を持っていた。
ヒグラシがどこかで鳴いているのが聞こえる。
ファミレスの前で、みんなと別れる。
イチが手を振っていたのが、やけに瞼の裏に残った。
ねえちゃんと並んで歩く。
遠くの空に入道雲が見える。その陰影はオレンジ色に染まっていて、まるでイラストのように、現実感を感じさせなかった。
反対側の空を見ると、水縹の色が、淡いオレンジに吸い込まれようとしていた。
「ムギちゃん、帰ったな」
「そうだね」
ねえちゃんは俺の少し前を歩いている。
「うるさいのがいなくなって、やっとゆっくり眠れるよ」
そう言って、ねえちゃんは道端の小石を小さく蹴った。
「そっか」
俺はそれ以上、何も言わなかった。
黙ったまま、橋の上を渡る。夕陽が沈みかけていて、川面は煩いほど淡い橙を反射していた。
頭上では、鳶が大きな弧を描きながら飛んでいる。
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