30:名無しNIPPER[saga]
2016/08/18(木) 08:11:05.83 ID:RhqsoqHZ0
「先輩!」
机の引き出しを覗き込むと、後ろから声をかけられた。湿気を吹き飛ばしてくれるような、爽やかな声。
「……コヨミちゃん?」
「はい! その通りです!」
振り返ると、おどけて敬礼のポーズをした、小さなポニーテールを揺らす女の子が目に入った。
「一度教室に寄ってみて正解でした!」
そう言って快活に笑っている女の子は、カラタチコヨミ。一個下の後輩。
生徒会に所属している。庶務、つまり雑用らしい。一年生だから。
少し前からこんな感じで話しかけられたり、話しかけたりすることがある。
「どうかしたの?」
「ここならいるかな、って」
立ち上がって尋ねると、コヨミちゃんではなく、その後ろから教室に入ってきた声が答えた。
「ねえちゃん」
「やっぱりここにいたんだ」
ねえちゃんだ。
「一緒に帰ろう」
「おう」
ちなみに、この人は別に俺の姉ではない。
乙坂音絵。
オトサカ、ネエと読む。だからねえちゃん。
俺と同じ二年生で、コヨミちゃんと同じ、生徒会役員。
家が隣で、小さい頃からよく遊んだりしていた。
淡々とした口調は、男女隔てなく話しやすい。
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