過去ログ - 男「ここにいたんだ」
1- 20
312: ◆1HYehGkP635v[saga]
2016/08/29(月) 00:55:57.36 ID:hWTEXAWe0
 学校が始まって、当然部活も始まる。

 と言っても、何をするわけでもないし、何が変わったわけでもない。

 前より少しみんなと仲良くなっただけで、だからと言って部活が忙しくなったり、サボったりするようになったことはない。

 だらだらと過ごして、生徒会からプリントがまわってくれば、きちんと掃除をする。

 これまで通り、いつもの清掃部だった。

 でも、そんな部活動のうち、一日だけ、たぶん一生忘れないだろうな、という日があった。

 晴れた日の、放課後、残暑も消えてきた、秋の夕方だった。

 その日は確実にプリントが回ってこないとわかっていたので、部活に行っても行かなくてもいい日だった。

 それでもなんとなく、部室に行くと、そこにはイチがいた。

「やは」

「おう」

 いつもの席に座る。

 俺の前に、イチ。

 どこかで見覚えがあるな、と思っていると、イチが突然振り返った。

「ねえ、ちゅーしよう」

 いつもの席で、いつもの席に座っているイチが、俺の方を見ながらそう言う。

 部室。夕方。
 夕日は信じられないくらいオレンジ色をしていて、部室はまるで絵画のようにオレンジ一色に染められていた。

 窓の外には鳶が飛んでいる。

 俺はなんと答えたか、まあ、それは話すべきではないだろう。

 いちごオレの味がした。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
329Res/334.42 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice