過去ログ - 男「ここにいたんだ」
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314: ◆1HYehGkP635v[saga]
2016/08/29(月) 00:58:56.95 ID:hWTEXAWe0
 堪えきれないというように、思いっきり笑った。

「え、え?」

 戸惑う。違ったのか。

「何言ってるんですかー、妄想が激しすぎですよ!」

 こなたがあまりにも可笑しそうに笑うので、なんだか恥ずかしくなって、俺は手すりに寄りかかって、不貞腐れたように口先を尖らせて尋ねた。

「じゃ、じゃあなんだんだよ……」

「少なくとも、あなたではありませんよー。
 あなたの分身とか、ドッペルゲンガーとか、タルパとか、それはまた別のお話ですー」

 こなたは目尻の涙を指で拭って、手すりの上に軽いジャンプで登った。

「せんぱいは、時計を見たときに一瞬針が止まって見える現象を、なんというかご存知ですかー?」

「クロノスタシスだろ。こなたが言ってたじゃん」

「つまりそういうことですよ」

 こなたは手すりの上から、にんまりと俺を見つめている。

 俺が何を言いたいのかさっぱり理解できずにいると、そのままこなたは続けた。

「せんぱいは、こなたが教えて差し上げまで、その単語をご存じなかったんですよねー?」

 そこまで言われて、やっと、こなたの言いたいことに気付く。

「……そっか、俺の知らないことを知ってるはずがないのか」

 こなたは満足そうに頷いた。



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