過去ログ - 男「ここにいたんだ」
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315: ◆1HYehGkP635v[saga]
2016/08/29(月) 01:00:26.10 ID:hWTEXAWe0
「なら、お前は何者なんだ?」

「まあ、少なくとも、人間では、ありませんねー」

 こなたは当たり前のように、重大なことをサラッと言った。
 いや、こなたからすれば当たり前なのか。

「こなたは何にでもなります。
 どこにでもいます。
 悩む人がいれば今のように人の姿をすることもありますし、インスピレーションを与えるそよ風にもなりますし、
 時には重力に従うだけの、赤いリンゴになったりもします」

 変な話だった。変わった話だった。

 でも、俺は自然と、その言葉を素直に飲み込んだ。

「信じようと信じたいと、真実はこの通りですー」

「信じるよ」

 俺がそう返すと、こなたは驚いたように目を丸めた。

「おや、珍しい……あまり人は信じないのですがねー」

「信じた方が、夢があるしね」

 なるほど、とこなたは笑った。

 じゃあ、俺は部室に行くから、「またな」と、こなたに手を振って、渡り廊下を後にした。

 はい、お元気で、とこなたは手を振り返してくれた。
 つかみどころのないふわふわした雰囲気も、今ならなんとなく理解できる。

 でも、それ以降、俺がこなたを見ることはなかった。


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