50:名無しNIPPER[saga]
2016/08/18(木) 21:07:39.23 ID:RhqsoqHZ0
教室に入ると、ちらほらと人がいるだけで、まだ生徒は多くはなかった。
自分の席に座ると、隣にユウキが座ってきた。そこはお前の席じゃないだろう。
「思ったんだけどさ」
ユウキは深刻そうな顔で話を始めた。何か相談でもあるのだろうか。
「図書室って異世界っぽくない?」
「いや別に」
少しでも心配しかけた自分がアホらしかった。どういうことだよ。
「いやいや、漫画とかの影響じゃなくてな? ほら、図書室とかって不特定多数の人がくるわけだろ? だから……」
ユウキは少し考える仕草をする。それが真剣な表情なところが、またアホらしかった。
「付箋に『未来のお前が危ない。今日の放課後、渡り廊下に来てくれ』って書いて、本に挟んであったりとか」
ユウキの肩越しに、今日の予習をしながら顔をしかめている、委員長女子が見えた。
「あったらワクワクしない? というかやりたい」
なんでそんな得体の知れない発想ができるんだ。見つけた人ビビるわ。
でもちょっと笑ってしまったのが悔しかった。どうしてこんなくだらないことで笑えるんだろう。
「本が汚れないんだったら好きにすればいいんじゃない?」
「だよな、やってみるわ」
本当にやるのか。
こういう時のユウキは有言実行なことが多いから、多分、本当にやるんだろう。少なくとも付箋に書くところまではやるはず。本が汚れないといいけど。
329Res/334.42 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。