74:名無しNIPPER
2016/08/19(金) 14:15:16.55 ID:F+nlZ94w0
「夏休み、好きなの?」
「ええ、夏休みは、みなさん自由ですからね」
「自由」
自由です、と、こなたは頷いた。
肩まで伸びた髪が、風でサラサラと揺れる。
たしか、校則では肩まで伸びたら結ばないといけないんじゃなかったっけ。
渡り廊下によくいるなら、先生とかに見つかってもおかしくなさそうだけど……
「せんぱいは、夏休み、お好きなんですよね?」
「そりゃ、人並みには」
夏休みが嫌い、って人を、俺はまだ聞いたことがない。
いるんだろうか? そんな人。
ただ、生活習慣が乱れてしまうのは難点ではある。そう考えると学校って大事なんだな、と思う。
「夏の空気というか、匂いとか、すごいなつー、って感じがしますよねー」
「あー、なんかわかる気がする」
昼過ぎに遠くの方から聞こえてくる鳥の鳴き声とか、と言ってみると、こなたは楽しそうに笑った。
「あとあと、お店に入った時のー、ザ・冷房、って感じとかですね」
「わかる、あれいいよな」
「……というか、前もこんな話、しましたよね」
「……そういえばそんな話もしたな」
なんだかんだで、結局夏って、毎年同じようなことを繰り返すだけな気がする。
今年こそ宿題を早めに終わらせて、思いっきり遊ぼう、と考えながら、結局、最終日にまとめてやったり。
今年こそ川原でも散歩しよう、と思いながらも、結局、一緒に遊ぶ人がいなくて川には近づかなかったり。
彼女つくろう、とか男だけで話して、結局、彼女のかの字もないまま夏が終わったり。
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