76:名無しNIPPER
2016/08/19(金) 14:23:48.19 ID:F+nlZ94w0
「勝ちましたー! はっはーい!」
部室に戻ると、俺が今が一番聞きたくなかったセリフが聞こえてきた。
部長がオセロ盤を覗き込んで、「おお、四つ角全部取ってるじゃん」なんて言ってる。
え、どっちが?
恐る恐る机の上のオセロ盤に目をやると、心なしか白が多い気がする。
いや待て。気のせいかもしれない。
「負けちゃった」と、さして悔しくもなさそうにチヨが照れ笑いをしている。
「一対一かぁ」と、部長がチヨの頭に手を置いていた。チヨがくすぐったそうな顔をする。
……残念なことに、気のせいではなかったようだ。
「どうかした?」
入り口で立ち止まっていると、部長が声をかけてくれた。
「いや……なんでもない」
一か八か、イチが忘れていることを願い、なんでもない風を装って、部室に入る。
……イチだけに(面白くない。自分で言っといてなんだけど)。
「なんでもなくないよね?」
イチがニヤニヤと笑いながら窓際からこちらを見ている。
ちくしょう。忘れてなかったか。
「夏休み、ラジオ体操ね」
「まじかよ……」
「え? なにが?」
チヨがきょとんと見上げてきたが、答える気力はなかった。
ラジオ体操……朝六時だっけか。
起きるのはまあいいとして、小学生の中に混じるのは中々不安だった。
一人だけ高校生。
いやでも、地域のお年寄りとかが参加してるかもしれない。だとしたら気持ち的にすごく楽になるんだけど。
329Res/334.42 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。