97:名無しNIPPER
2016/08/20(土) 09:11:03.36 ID:D33bbYIF0
翌朝、目が覚めた時、やけに長い夢を見ていたように感じた。が、内容は一切覚えていない。たまにあるよね、こういうこと。
少し起きるのが遅れたので、急ぎめに制服に着替える。
玄関を出た時、やけに軽いカバンに違和感を覚えた。
いつもは教科書とか入ってるのに、今日はプリントを入れるファイルと、財布だけ。荷物が軽いと、なんだか遠くに行けそうな感覚になる。
夏休み、せっかくだし、一人旅でもしようかな、と思った。青春18きっぷでも買って。
「どうしよう」
教室に入ると、ユウキが不安そうな顔で近寄ってきた。
「カバン忘れた」
忘れたのか。
「いや、今日はいるもんないし、と思ったら忘れてて……」
でもまあ困ることはないんじゃない? と言うと、ユウキは安心したようにため息をついて、図書委員の子の席に座る。
「どういう状況で忘れたんだよ」
「弟と鬼ごっこしてたら……」
彼はため息をついた。
「家の外に行けばいいのでは、と思って、一番下の弟を残してもう一人の弟と二人で逃げてきた」
学校にか。
そろそろユウキの親がかわいそうになってきた。
教室の目線も、なんだかかわいそうなものを見る目になっていた。
「あ、おはよ」
ユウキが教室の入り口に向かってそう言う。目線を向けると、いつも通りの荷物を持ったイケメン君が入って来ているところだった。
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