過去ログ - 梓「嵐の夜に」
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6:名無しNIPPER[sage saga]
2016/08/20(土) 22:55:01.67 ID:Ljuzcmhc0
ガラガラに空いた道路をバスは快調に走っていく。どうしてこんなに空いているのに、乗客もいないのにあんなにバスが遅れてきていたのかわからない。予定時刻通りなら律先輩に遭遇することもなかったのに。

そのあとも乗客はわたしたち以外誰もいなかったけれど、バスは停留所を無視せずきちんとすべての場所で停車した。
止まるたび、扉が開くと風の鳴る音が激しさを増しているのがわかった。


バスを降りると、雨粒が頬に触れた。
少し小走りでアーケードの下へ駆け込む。
停留所から映画館まで、この街一番の繁華街を通る。
いつもなら行き交うひとの群れに押されて満足に進めないことさえあるというのに、嘘のように人通りがすくない。
変わらないのは繁華街の呑気なテーマソングだけだ。時代遅れの歌謡曲がむなしく響いている。
すでにシャッターの降りている店舗もある。
最近できたばかりのラーメン屋の店内は無人で、古くからある洋装店はまっくらで中が見えない。ガラス越しに眺めた眼鏡屋はキラキラとまばゆいけれど、おじいさんがふたり、退屈そうにあくびをしているだけだった。

「ゴーストタウンみてーだな」

おじいさんを見てそれを言うのは失礼だと思います。



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