過去ログ - 千川ちひろ「紫煙の奥から」
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25: ◆K5gei8GTyk[sage saga]
2016/08/22(月) 21:59:37.03 ID:Bte9AddR0
 あれから何日も経つのに、未だにプロデューサーにライターを返すことができないでいる。

 返さないつもりではないし、むしろ早いうちに返さなければとも思うのだけど、どうしてだかそれは躊躇われた。

 気のせいかもしれないけどそれには、未練のような、浅はかな感情が邪魔しているような感覚がある。


 そうしてわたしが何もできずにいる間にも、炎が火口を這うような速度で時間は流れる。

 わたしや、彼や、今を輝くアイドルに対して、一律平等に。


 そんな益体もないことを考えながらもわたしは、彼女達が心置きなくアイドルを楽しめるように、援助する。

 事務仕事は勿論のこと、彼女達の相談に乗ったり、学生アイドルの勉強を見てあげたり。

 仕事だから仕方なくじゃない、むしろこれがしたくて、この仕事に就いた。

 天職だとさえ思う。


 わたしはとびきりの笑顔を作る。

 それが誰かを笑顔にすることはない。

 それはわたしの仕事ではないのだし、求められてもいないのだし。


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