過去ログ - アンパンマン「ばいきんまんはもういない」
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オータ
◆aTPuZgTcsQ
[sage]
2016/08/23(火) 15:28:39.98 ID:Yu37ZZYbO
「ばいきんまん!」
「お前が出来ないなら、おれさまがやるしかないな……」
すると、ばいきんまんは辛うじて残っていた、リモコンのレバーを動かした。
体に突き刺さっていない方のハサミが、ゆっくりと動き始める。
「やめるんだ!ばいきんまん!」
「その言葉も聞きあきたのだ」
ばいきんまんは笑ったまま言った。
その瞬間、アームが素早く動き、刃が風を切った。
ぼくは反射的に飛び出して、アームの動きを後ろから止める。
このまま引きちぎってしまおうと、ぼくは腕に力を込めた。
なのに、彼はぼくを呼んだ。
「アンパンマン!」
ふっと、声の方を見ると、メカから飛び出した小さな水鉄砲が見えた。
ばいきんまんの顔がくっついた水鉄砲は、よく見慣れたものだった。
そんな、と思う暇もなく、ぼくは顔に水をかけられる。
「油断したな、アンパンマン!そこがお前のダメなとこなのだ!」
ばいきんまんの元気な笑い声が響く。
そして、彼は最後に言った。
「おれさまはいつかお前を倒しに戻ってくる。それまで待ってろ、おじゃま虫!」
ぼくは必死にアームを押さえ続けた。
心の中で神様に助けを求めたほど、ぼくはなんとかしてアームを食い止めたかった。
けれど、ぼくの腕はどんどん力が抜けて、アームが滑り抜けていく。
どんなに指先に力を入れようとしても、どんなに腕を支えようとしても、体がうまく動かない。
もうだめだ、と思った。思ってしまった。
その瞬間、アームは指先から抜けて矢のように飛んでいった。
ハサミは真っ直ぐばいきんまんへと向かう。
そして、操縦室を貫いた。
「ばいきんまん……!」
それは一瞬の出来事だった。
操縦室を貫かれたメカは不規則に動きだし、地鳴りのような音をたてて爆発した。
爆風に吹き飛ばされたぼくは、がけの下へと放り出される。
顔が濡れて力が出ないぼくを、駆けつけたメロンパンナちゃんが、受け止めた。
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