過去ログ - アンパンマン「ばいきんまんはもういない」
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オータ
◆aTPuZgTcsQ
[sage]
2016/08/23(火) 15:47:33.05 ID:Yu37ZZYbO
ジャムおじさんに教えてもらった通り、北に飛んで二時間ぐらいが経ったころ、代わり映えのしない景色にホラーマンが愚痴をこぼした。
「いや〜、見事に海ばっかり。
本当に手がかりなんてあるんですかねぇ?」
「きっとジャムおじさんは嘘はついてないと思うけど……」
「でも、島もなーんにもないですよ」
確かにホラーマンの言うとおり、行く手に広がるのは海ばかりで、なにも見えてこなかった。
ジャムおじさんが言ったなにかと言うのは、海に沈んでいるんだろうか?
ガラス製のヘルメットも持ってくれば良かったと少しだけ悔やんだ。
「アンパンマン、なんか変なこと考えてません?」
「えっ?」
「海の底になにかが沈んでるんなら、ジャムおじさんがヘルメットも用意してくれたはずでしょ。
まさかそんないじわるはしないんじゃないんですかね〜」
なぜか見抜かれてしまっていたので、ぼくは苦笑いをした。
確かに顔やパンを用意してくれたのに、ヘルメットだけ隠してしまうのはおかしい。
でも、それなら一体、手がかりはどこにあるんだろう。
見逃さないように水面を見て飛んでいたぼくに、ホラーマンが声をかけた。
「アンパンマン、前見てください!」
「えっ?」
ふっと顔をあげると、海に浮かぶ影が蜃気楼のように揺れていた。
最初はなにかの幻かと思ったけど、近づくにつれて、それは小さな島だと分かった。
ホラーマンは嬉しそうにしている。
「やっと到着なんですね〜。きっとここに手がかりがあるんですね!」
「うん!」
ぼくは島にさらに近づいていき、ゆっくりと島の上を飛んだ。
空から見た島は、大半が森で覆われているようだけど、なにか様子がおかしい。
少しだけ警戒しながら、ぼくたちは木の隙間から島に着陸した。
ホラーマンを腕で支えて、背中からゆっくりおろす。
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