過去ログ - アンパンマン「ばいきんまんはもういない」
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54:オータ ◆aTPuZgTcsQ[sage]
2016/08/23(火) 16:26:07.35 ID:Yu37ZZYbO

こどもたちの必死の説得と、カレーパンマン達の声が、全てぼくに集中した。
ぼくは石を握ったまま、すごく迷った。
こどもたちを消してしまうの嫌だ。そんなことはしたくない。
けれど、こどもたちはとても辛そうだ。
ぼくはものすごく迷った。

そして、あのときのことを思い出した。
あのとき、ばいきんまんもメカを壊してくれと、ぼくに頼んだんだ。


「アンパンマン!はやく石をこっちに!」

「アンパンマン……!」


きっと、ぼくがメカを壊すより、自分で壊してしまう方が辛かっただろう。
もしかしたら今も、こどもたちを救う方法は、石を捨ててくることなのかもしれない。
家族にも会えないで、終わらない夜を繰り返させるのは、その方がずっと酷いことかもしれない。

ぼくは、そのことから逃げていただけかもしれない。


「ごめんね、カレーパンマン、しょくぱんまん。
ぼくは……」


それ以上は言葉に出来ずに、ぼくは空を覆う木の葉や枝を突き破って、外へ飛んだ。
島は来たときと変わらない姿をしている。
この島はぼくが腕を振っただけで消えてしまうだろう。
そう思うと、大きな恐怖を感じてしまう。
けれど、思いをぐっと飲み込んで、ぼくは理の石を握り、大きく腕を振った。
カレーパンマンとしょくぱんまんがぼくに追い付いたころには、理の石は大きな放物線を描き、海に吸い込まれていた。
その瞬間、島が大きく揺れ始め、崖に大きな波が打ち付けられる。


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