過去ログ - アンパンマン「ばいきんまんはもういない」
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7:オータ ◆aTPuZgTcsQ[sage]
2016/08/23(火) 15:18:45.45 ID:Yu37ZZYbO
「実は、今日はメロンパンナちゃんにもパトロールをお願いしたんだよ。
だから、みんなが助けを呼ぶ前にメロンパンナちゃんが助けていたのかもしれないね」

「けど、森にいたあの子は」

「たまたま音が届かなくなる所にいたのかもしれない。
そう考えすぎてはダメだよ」

「はい」


ジャムおじさんが笑っているので、ぼくは納得した。
ジャムおじさんの言うことが間違っていたことは、今までなかったから。
けれど、ジャムおじさんはあとに続けた。


「でも、パトロールはやはり、もう少しお休みした方がいいんじゃないかな」

「ぼくは大丈夫です」

「そうだね。けれど、私たちが心配で、仕事が手につかなくなってしまうんだ。
私たちのために、休んでくれないかい?」


断ることも出来なくて、ぼくはうなずいた。
ジャムおじさんとバタコさんは、本当に安心したようで、少しだけ笑った。


「じゃあ今日はもう遅いから、ゆっくりおやすみ」

「はい、おやすみなさい」


ジャムおじさん達を残して、工房の階段を上り、ぼくは二階へたどり着いた。
自分の部屋の扉を開けると、窓際に花が揺れているのが見える。
花瓶に一輪だけ生けられた花は、きっとメロンパンナちゃんが置いていってくれたんだと思った。
白い花が月の光を吸い込んで、淡く光っている。

ふと、キレイなものは嫌いだと言っていた、彼の姿を思い出した。


「ばいきんまん……」


ぼくはあの戦いのあとから初めて、彼の名を呟いた。
そしてどうしようもないくらい、胸が苦しくなった。
なぜ、君はあのとき。

考えても分からなくて、泣くことも出来なくて、ぼくはベッドの上でぼんやりとした。
全て嘘なんじゃないんだろうかなんて、この期に及んでまだ思っていた。


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