過去ログ - アンパンマン「ばいきんまんはもういない」
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オータ
◆aTPuZgTcsQ
[sage]
2016/08/23(火) 16:52:56.22 ID:Yu37ZZYbO
気がついた時には、ぼくは真っ暗闇の中にいた。
一つだけ光を放っているのは、床に置かれた水晶玉だけで、そこにはなにかの映像が映されているみたいだった。
映像に合わせて、音も水晶玉から響いており、ぼくはそれを拾い上げて、中をのぞきこんだ。
水晶玉には泣いているメロンパンナちゃんが映し出されていた。
「メロンパンナちゃん……」
思わず呟いたけど、ぼくの声は向こうには届いていないようだ。
号泣し続けるメロンパンナちゃんを、ぼくは慰めることもできない。
声が届いたとしても、なぜ泣いているのか分からなかったから、なんて声をかけたらいいのか分からなかった。
それでも見ていると、メロンパンナちゃんの頭を撫でる人があらわれた。
白い覆面をしているその人は、メロンパンナちゃんのお姉さんの、ロールパンナちゃんだった。
「メロンパンナ……もう泣くな。
泣いても戻っては来ないんだぞ」
「でも……こんなの嫌だよ……!
どうしてアンパンマンが……!」
「あいつは正しいことをしようとしたんだ。
無責任なやつだけどな」
「そんな……そんな言い方……!」
メロンパンナちゃんは言い返そうとして、さらに泣き出してしまった。
ロールパンナちゃんは、その頭をそっと撫でている。
でも、無責任なやつってどういうことだろう?
ぼくは、そのまま映像をじっと見つめていた。
すると、今度はカレーパンマンとしょくぱんまんが映った。
「あいつって本当にバカだよな……。
本当に……。
ここに居たらぶん殴ってやるのに……!」
「あなたこそバカですね。
もう私たちにはなにも出来ないんですよ。
どうしようもないんです」
「なんでそんな風に言えるんだよ!悲しくないのかよ……悔しくないのかよ!」
「悔しいですよ」
すると、しょくぱんまんは見たことがないような、鋭い目付きをした。
カレーパンマンはその顔を見て、さらに拳を握りしめる。
「そうだよな……悪ぃ」
「いいえ……いいんですよ」
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