10: ◆TDuorh6/aM[saga]
2016/08/23(火) 23:31:22.76 ID:zjxhfud6O
「プロデューサーさん…昨日の夜、読んだ小説の話なのですが…」
翌日出社した私は、早速プロデューサーに話し掛けた。
とは言え、貴方は今日ファンレターで怪我をするから気を付けて下さいだなんて言えるはずも無い。
というか言ったところで信じて貰えるはずも無い。
けれど、注意を喚起する事は出来る。
例えば…
「便箋のマチに刃物を仕掛ければ…警戒している相手にでも、傷を負わせる事が出来るそうです」
「成る程…ありがとう、注意しておくよ」
全てを知っている私からすればあからさま、露骨なネタバレである。
これが推理小説であれば批判間違いなしだ。
けれど、これは現実の話。
そしてストーリー通りに話がすすめば、プロデューサーさんは怪我をしてしまうのだから。
プロデューサーさんの手が三通目の便箋に伸びた時、夢は現実となった。
けれど、少しだけ結果は変わる。
「…これ、もしかしたらさっき文香が言ってたやつかもしれないな」
ペーパーナイフで封を無視して切り取ると、中身は空っぽだった。
そしてやはり、封じ口の部分には剃刀の刃が貼られてある。
…ふぅ
「だいぶタイムリーな感じになったな。ほんと、注意しておいてよかったよ」
何はともあれ、プロデューサーの怪我は回避出来た。
また、夢によって助けられた。
あの不思議な夢はもしかしたら、本当に予知夢なのかもしれない。
実際に夢と同じ事が起こり。
この通り、不幸を回避できたのだから。
「さて…文香、そろそろダンスレッスンの時間だぞ」
「…今のせいで…あまり、気分が良くないので…」
ただの言い訳だったのだけれど、何かを察した様なプロデューサーはトレーナーさんに連絡をしてくれた。
…気のせいでなければ何時もよりも厳し目でなんて聞こえてきたけれど。
文香の気を紛らすためにもかなりハードに、ですか…
ちょっとしたツケが帰ってきた気分になった。
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