過去ログ - 文香「夢から覚めぬ夢」
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19: ◆TDuorh6/aM[saga]
2016/08/23(火) 23:38:58.04 ID:zjxhfud6O



あった、ひとつ。
絶対車に乗れなくさせる方法が。


いそいで目的の女性を探し、プロデューサーさんが今夜は暇だと伝える。
一瞬訝しげな眼で見られたような気もするが、その隣の女性があまり上手とは言えないギャグで場を流してくれた。
一瞬にしてプロデューサーさんが暇だという情報が広まったらしく、部屋へ戻れば大人の方々がプロデューサーさんの机を囲んで。
苦笑いしながらも、プロデューサーは今夜飲み会が決定した。


よし、と内心でガッツポーズを取るも。
自身はその飲み会に参加出来ない事に若干不満を覚える。
とは言えこれでプロデューサーさんの運転は不可能になった。
これで、大丈夫…


そう、大丈夫だ、と。
私は頑張って信じようとした。
けれど、心の何処かで。
それじゃダメだ、そんな考えが存在を主張して。


不安になった私は、プロデューサーが事務所を出るまで一階で待つ事にした。
広いロビーの、エレベーター2台を見通せる場所。
普通に事務所から出ようとすれば、必ず何方か一台のエレベーターを使う事になる筈だから。
事務所から出た後は、大人組の方々がある程度はなんとかしてくれるだろう。
寧ろプロデューサーさんが何とかする側に回る事となる様な気もするけれど。


…おかしい。
プロデューサーさんがパソコンをシャットダウンするのを確認してから、私は部屋を出ている。
けれど、待てども待てどもエレベーターからプロデューサーさんの姿は現れない。


…まさか!


急いで立ち上がり、階段の方へと向かう。
部屋が4階だからエレベーターで降りてくると決めつけていたが、ありえない話ではない。
嫌な予感が心を埋める。
そんな事ある筈が無い、と確信出来ないのか心を縛る。


非常階段の扉を持てる限りの力で勢い良く開けようとする。
けれど、その扉が全開になる事はなかった。
ゴツンッ、と。
床に突っ伏した、何かにぶつかったから。


呼吸が荒くなる。
激しくなる動悸は二次関数の様に上がってゆく。
それでも何とか全てを押し殺し、ゆっくりと。
視線を下げる、その先のモノを見て。


私の視界は、ぐにゃりと歪んでいった。





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