過去ログ - 文香「夢から覚めぬ夢」
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4: ◆TDuorh6/aM[saga]
2016/08/23(火) 23:27:26.42 ID:zjxhfud6O




仕方が無いので一旦本を置き、冷たいお茶を取りに冷蔵庫へと向かう。
グラスに氷を入れようとして開けた冷凍庫の冷気に一瞬の幸せを感じながら、たぷたぷと注がれてゆくお茶を一人眺めていた。
いっその事冷凍庫で暮らしたい。
そんな馬鹿な事を考え、自分が暑さで疲れている事を改めて実感する。


部屋に戻って手を見れば、既にグラス表面を覆った水滴によって濡れている事に気付いた。
こんな手で本を握っては痛んでしまう。
そうでなくとも、上手く本のページをめくれず纏めて捲ってしまった場合は哀しみしか生まれない。
間違えて一気に話が進み犯人がわかってしまった時は、しばらく本をめくる気力が無くなってしまった程だ。


何とかこのまとわりつく湿気を紛らわすべく、私はテレビを付けた。
夜も遅い時間の為、大体がニュースだ。
世界的スポーツ大会の結果や、大雨警報。
天気予報によれば明日の昼にはこの雨も止まるらしい。
逆に考えると、明日の昼まではこの湿度のまま。
今から嫌になる。


ぽちぽちとチャンネルを回すと、国民的アイドルの話題となっていた。
過去のライブやバラエティー番組が次々と流れている。
花々しいステージに、楽しそうな笑顔。
会場全てが熱気に包まれていそう。


…私には、縁の無い世界ですね…


テレビの電源を落としリモコンを机に放る。
手は乾いていたけれど、既に少し睡魔がやってきていた。
ここで敢えて逆らう必要も無い。
そろそろ、明日の起床に支障をきたす前に寝ておこう。


床へと着き、冷房のタイマーをセット。
起きる頃には雨が弱くなっている事を祈り、私は眼を閉じた。
意識を放り投げる前に思い出したのは、先程のテレビの事。


もしかしたら…私にも、そんな世界が…


ふふ、っと。
微笑み、夢の世界へと向かった。








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