1: ◆zPnN5fOydI
2016/08/27(土) 10:31:06.78 ID:ks9I9hz50
ゲームとは異なる設定を含みます.
また,全体的に胸糞悪いので,読む人を選ぶと思います.
SSWiki : ss.vip2ch.com
2: ◆zPnN5fOydI
2016/08/27(土) 10:31:36.60 ID:ks9I9hz50
(飛ばして結構です)
私は以前,もう艦これssは書かないという宣言をしたのですが,ここ数ヶ月,艦これがフラッシュバックしてきたので,書きました.
過去作:欠けた歯車、良質な物【艦これ】
3: ◆zPnN5fOydI
2016/08/27(土) 10:32:07.99 ID:ks9I9hz50
不気味なほどに静かな執務室で機械的にこなす,書類管理.
キリキリと痛む胃を抑え,冷や汗を流しながらも,せっせとこなしていく.
提督の書類作業を手伝うのは,艦娘の一人,朝潮.
4: ◆zPnN5fOydI
2016/08/27(土) 10:32:48.51 ID:ks9I9hz50
コンコン
執務室がノックされ,少女が一人入ってくる.
「失礼します」
5: ◆zPnN5fOydI
2016/08/27(土) 10:33:37.96 ID:ks9I9hz50
「訓練もせず,一日中座っているなんて,良いご身分ですね」
朝潮は歯を噛み締め,溢れそうな涙を飲み込み,消えそうな声で,「ごめんなさい」,といった.
「私に謝まったって,何も変わらない」
6: ◆zPnN5fOydI
2016/08/27(土) 10:34:08.02 ID:ks9I9hz50
いつからこんなことに,なってしまったのだろうか.
ほんの1ヶ月前まではみんなと同じように,出撃と訓練に明け暮れていたのだ.
しかし急に戦績が落ち,出撃が少なくなり,次は訓練さえも少なくなり,
7: ◆zPnN5fOydI
2016/08/27(土) 10:34:35.61 ID:ks9I9hz50
「寝る」
夜も遅くなり,提督はベッドに入る.
朝潮はまだ作業中だ.
8: ◆zPnN5fOydI
2016/08/27(土) 10:35:40.39 ID:ks9I9hz50
目の前がぼやけ,目の焦点が合わなくなる.
朝潮は灯を消し,隅に置いてあるたたんだ布団を広げ,毛布を一枚かぶる.
眠りにつくとき,頭の中に艦娘の皆の冷たい表情が浮かんでは消え,浮かんでは消える.
9: ◆zPnN5fOydI
2016/08/27(土) 10:36:09.65 ID:ks9I9hz50
いつから始めたことだろうか.
いつ,知ったことなのだろうか.
朝潮は左腕のアームカバーをめくり,線の入った部分に歯を押し付け,
10: ◆zPnN5fOydI
2016/08/27(土) 10:36:44.75 ID:ks9I9hz50
目の前が明るくなり,目が覚める.そして時計を見る.
3時間程度の睡眠時間.
朝潮は起き上がり,布団を畳み,ランプをつけ,机に向かう.
11: ◆zPnN5fOydI[saga]
2016/08/27(土) 10:37:25.92 ID:ks9I9hz50
少し時間が経てば早朝練習が始まり,提督も起きてくる.
また,夜戦の分の書類が来る時もある.
今日はその日だった.
12: ◆zPnN5fOydI[saga]
2016/08/27(土) 10:37:52.45 ID:ks9I9hz50
皮肉のこもったその言葉に,朝潮は思わず,涙を流した.
何度となく言われた皮肉にも関わらず,一言一言が,朝潮の心をえぐるのだ.
かろうじて頷き,目の前の書類を睨みつける.
13: ◆zPnN5fOydI[saga]
2016/08/27(土) 10:38:30.66 ID:ks9I9hz50
「朝潮」
提督は冷たく,朝潮の名前を呼ぶ.
泣き顔を悟られぬよう,朝潮は短く,「はい」と答えた.
14: ◆zPnN5fOydI[saga]
2016/08/27(土) 10:39:00.89 ID:ks9I9hz50
替えの服は,朝潮型の部屋にある.
この時間に待機してる姉妹は少ないが,居るときは居る.
朝潮は目を伏せて部屋に入り,ロッカーから自分の着替えを取り出し,目を閉じて,すぐにしめる.
15: ◆zPnN5fOydI[saga]
2016/08/27(土) 10:39:33.71 ID:ks9I9hz50
目を伏せて足早にドッグに向かう.艦娘の治療が主な役割だが,単に体を洗うこともできる.
臭い服を洗濯機に入れ,入室し,手早く体を洗う.水で体を流す頃,後ろから声がかかる.
「朝潮! その傷は何!」
16: ◆zPnN5fOydI[saga]
2016/08/27(土) 10:40:12.27 ID:ks9I9hz50
小走りで執務室に向かうと,途中,艦娘にぶつかって倒れる.
しかもそのぶつかった相手は,戦艦だ.
「出撃も訓練もせずに,悠々とお風呂タイムとは,良い御身分だな」
17: ◆zPnN5fOydI[saga]
2016/08/27(土) 10:40:49.52 ID:ks9I9hz50
息を切らせて執務室に入ると,そこには,姉妹の荒潮が出撃の報告をしていた.
荒潮の冷たい目線が朝潮の胸に刺さった.
朝潮はすぐに机に向かい,書類作業に没頭する.
18: ◆zPnN5fOydI[saga]
2016/08/27(土) 10:42:05.72 ID:ks9I9hz50
決まった時間になると,朝潮は,提督の食事を取りに行く.この時が朝潮にとって,一番辛い.
食堂に向かい,提督用の食事と,自分用の白米一杯を貰う.
時間が時間なだけに,食堂には多くの艦娘がいるのだ.
19: ◆zPnN5fOydI[saga]
2016/08/27(土) 10:42:55.60 ID:ks9I9hz50
降り注ぐ罵倒で痛む胸を抑え,朝潮は,執務室に向かう.
こんな毎日を過ごし,出撃も訓練もしようにもできず,ただただ,書類作業に没頭する.
ああ,なぜ自分は生きているのだろうか.
20: ◆zPnN5fOydI[saga]
2016/08/27(土) 10:43:53.40 ID:ks9I9hz50
書類整理をしていると,こんな書類が目につく.
『深海棲艦の発生場所特定』
「えっ!」
21: ◆zPnN5fOydI[saga]
2016/08/27(土) 10:45:20.15 ID:ks9I9hz50
朝潮はいつも以上に早く目を覚まし,執務室を出る.
向かうのは工廠.
「明石さん!」
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