25:名無しNIPPER[saga]
2016/09/03(土) 02:10:05.01 ID:Z6ZHfkFVo
親戚の結婚式に出席する為、神崎一家は東京へやって来ていた。
ついでに観光でもしようかと話が纏まり掛けた際、蘭子は一世一代のワガママを口にした。
「あのね、私……原宿に行って、みたいの…………一人で」
当然の如く両親は大反対だった。
可愛い一人娘、いや可愛くて可愛くて仕方の無い一人天使である。
僅か十三歳の田舎っ子を一人で東京に放り出すなど以ての外であった。
蘭子もそれは予想しており、だからこそ必死でお願いをしている。
「…………ダメ……?」
「ぐ、ぐぅっ……幾ら可愛くお願いしたって……ダメだ。俺達もついて行く」
「ごめんね、蘭子……私達が居ちゃ、駄目?」
「え、えっと……」
両親が蘭子の為を思って言っているのを、蘭子自身も痛いほど理解していた。
でも、蘭子にだって知られたくない秘密の一つや二つあるのだ。
両親は「凝った服が好き」程度に考えている、蘭子のヒミツの趣味。
だが実際は、「市販の服を仕立て直し、一式揃えてしまう程のゴシック好き」なのである。
自分で繕った一番の自信作を着て、原宿の街を歩いてみたいのだ。
「――まぁまぁ、いいじゃないの」
祖母は、いつだって蘭子の味方だった。
432Res/238.38 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。