308:名無しNIPPER[saga]
2016/12/23(金) 21:25:27.56 ID:MZTRIGcDo
「……蘭子ちゃんはどう?」
「ククク……よくぞ訊いた。我が魂の伴侶、生半な器では足りぬ」
(……えへへ。でも私、ひょっとしたら高望みかも)
「蘭子は、どんな人が好き?」
「うむ」
枕を胸元に抱き寄せ、改めてしばし勘案する。
シルクの靴下に包まれた足がぱたぱたと上下する度、グリフォンのヒゲが小さく揺れる。
毛布の山にトンネルが開いて、赤らんだ耳だけが遠慮がちに覗いていた。
「強い人?」
「否。争いの世に生きて尚、戦いに飽くのは愚策ね」
(ううん。強くなくたっていいよ)
「なら……カッコイイ人とかかな」
「否。徒に美を求める生は、いずれ美の泉に溺れよう」
(ううん、カッコよくなくてもいい)
今度は蘭子の頬に、鮮やかな紅葉が舞う。
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