355:名無しNIPPER[saga]
2016/12/24(土) 23:19:14.59 ID:ckQ0GSngo
「結構さ、酷い事言っちゃったんだよね。飛鳥ちゃんに」
李衣菜に誘われ、蘭子は久しぶりに女子寮への道をゆっくりと歩く。
美波と共に入った洋食屋も、高森藍子に付き合った小さなカフェも。
いつの間にか姿を消し、見覚えの無い店が賑やかに営業していた。
「取っ組み合いになって……って、私が一方的に掴みかかったんだけど」
「……傷つきし翼の如く?」
(ウィッグ引っ張ったり?)
「う。蘭子ちゃんも知ってたか……はぁ」
罰が悪そうに溜息をつき、李衣菜は天を仰ぐ。
背中で揺れるギターケースへ、茶色のつむじがこつりと当たった。
「あー……ホント、馬鹿だったな。私。自分の事ばっか考えてた」
「……李衣菜ちゃん」
「でもさ。あの曲を聴いて、ようやく私も分かった気がする」
天を仰いでいた視線を、行く先へまっすぐに向け直す。
「飛鳥ちゃんも、私に勝ちたかったんだ」
悪友。
李衣菜と飛鳥は、お互いを指してそう呼び合っていた。
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