8:名無しNIPPER[saga]
2016/08/27(土) 22:11:42.88 ID:NU0BR5gro
【12歳 / 冬】
結論から言うと、両親の教育方針が変わる事は無かった。
というのも、蘭子が実に良い子であったせいである。
お夕飯の準備は手伝う。
苦手なピーマンも頑張って食べる。
お婆ちゃんの肩は叩く。
お勉強は頑張る。
溺れかけた仔犬を助けようと川に飛び込む――
今か今かと待ち構えても、厳しく叱るべき場面は(最後以外)一向にやって来なかった。
「わぁ……!」
良い子にはご褒美を。
神崎家の教育方針第一にして全である。
オカルティックな書物やガラス細工などを両親、特に父親はたびたび買い与えていた。
「ありがとうっ!」
蘭子の趣味は……少々変わっていた。
幼少のみぎりからお人形などにはあまり興味を示さず、とかく精緻で美しいものを好んだ。
栞。風鈴。オルゴール。時計。フルート。万年筆……。
中でも色には特別のこだわりが見て取れた。黒と銀と紫とを特に好んだ。
「これが似合うんだものねぇ」
蘭子は、黒と銀と紫の似合う少女だった。
432Res/238.38 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。