過去ログ - 鷺沢文香「読み終えたら、またここに来てください」
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14: ◆.qG5SOGbi.
2016/08/29(月) 00:16:11.41 ID:Qm7Bl8Xd0
「…いらっしゃいませ」

「……こんにちは。本、読みました」

「…いかがでしたか?」

「面白かったです。推理小説ってすごい難しいのかなって思ってたんですけど、そんなことなくって」

「…それは、良かったです」

「こういうのなら、他のミステリーとかも興味持って読めそうだなって思いました」

「…サスペンスやミステリーというと、やはり皆様敷居が高いように感じられてしまうようで…
その入り口を開くことができたのなら…嬉しい限りです」

鷺沢さんは本のことについて話す時、無意識に顔をほころばせる。
本の面白さを語れること、そしてその本の面白さが共有できるのがよほど嬉しいのだろう。
そんな彼女を見ていると、今この笑顔を見ているのはここにいる僕だけの特権なのだと、
ささやかな優越感に浸ってしまう。

だがその時、何故か先ほどの男のことがひっかかった。
見慣れないスーツ姿、聞き慣れない声。あの男は何者で、そして鷺沢さんに何を話しかけていたのだろう。
何故か、胸のあたりにもやもやとした塊ができて、大きくなっていくような感触を覚えた。


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