1: ◆k.HMJKcYzc[saga]
2016/09/01(木) 13:32:29.89 ID:PXsZTd9H0
【ガルパン】役人「統廃合を任された」と言うのを、書いてました。
思いのほか、早く書けたのでその時の終わりに予告したとおり、二作目を投稿します。
ガルパンのキャラはあまり出ません、メインはオリキャラで、主役はボコのきぐるみの中の人です。
色々と原作と違う場面がありますので、苦手な方はご注意ください。
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2: ◆k.HMJKcYzc[saga]
2016/09/01(木) 13:33:26.50 ID:PXsZTd9H0
私がこの仕事を始めたのは、もう何年も前の事であった。
うだつの上がらないフリーターの私は、定職にも付かずアルバイトで日々をつないでいた。
3: ◆k.HMJKcYzc[saga]
2016/09/01(木) 13:34:10.26 ID:PXsZTd9H0
前までやっていた短期のバイトを終えた私は、次のバイトを探していた。
ある程度の金銭が手に入るのなら、特に希望は無く肉体労働でも事務仕事でもなんでもよかった。
4: ◆k.HMJKcYzc[saga]
2016/09/01(木) 13:34:53.38 ID:PXsZTd9H0
【アルバイト急募 アトラクションでのきぐるみアルバイト 特に体力に自身のある方 日給10,000】
5: ◆k.HMJKcYzc[saga]
2016/09/01(木) 13:36:05.86 ID:PXsZTd9H0
主にデパートや遊園地でのきぐるみショーでの仕事で、急ぎ募集したようだった。
明らかに他の同じ仕事より日給がいいところ見るに、かなり急いでいるように思う。
6: ◆k.HMJKcYzc[saga]
2016/09/01(木) 13:37:29.98 ID:PXsZTd9H0
「よく来てくれた、本当に助かったよ!!」
出迎えてくれたスタッフが、さあさあこちらへ、と私を呼ぶ。
7: ◆k.HMJKcYzc[saga]
2016/09/01(木) 13:38:41.59 ID:PXsZTd9H0
それが、私とボコの出会いだった。
8: ◆k.HMJKcYzc[saga]
2016/09/01(木) 13:39:35.04 ID:PXsZTd9H0
『ボコられグマのボコ』
包帯と絆創膏で体を覆う、キュートさが失われているように思える茶色のクマ、それがボコだ。
9: ◆k.HMJKcYzc[saga]
2016/09/01(木) 13:40:59.27 ID:PXsZTd9H0
「ボコだー!」
「ボコー!」
10: ◆k.HMJKcYzc[saga]
2016/09/01(木) 13:41:44.39 ID:PXsZTd9H0
「おうおう、てめえ邪魔だコラ、道あけろ」
舞台袖から現れたのは、ほかのキャラクター。
11: ◆k.HMJKcYzc[saga]
2016/09/01(木) 13:43:12.27 ID:PXsZTd9H0
「ぐえっ!!」
しかし俺はそのままねこの拳をうけ、地面に倒れた。
12: ◆k.HMJKcYzc[saga]
2016/09/01(木) 13:44:00.36 ID:PXsZTd9H0
「ボコー!がんばれボコー!!」
「ボコーガンバレー!」
13: ◆k.HMJKcYzc[saga]
2016/09/01(木) 13:49:40.26 ID:PXsZTd9H0
観客の家族連れの一組、姉妹らしい娘と凛とした母親が俺を見ていた。
姉妹の片割れはとても熱心にボコを応援しており、俺が登場してからずっと「ボコ」と叫んでいた。
14: ◆k.HMJKcYzc[saga]
2016/09/01(木) 13:50:28.22 ID:PXsZTd9H0
不意にその母親が俺を見た気がした。
冷たく凍るような視線が、ひどく恐ろしく心臓を突き刺すようだった。
15: ◆k.HMJKcYzc[saga]
2016/09/01(木) 13:52:21.30 ID:PXsZTd9H0
「きたきた、キターーーっ!!」
俺はねこ達を押し退け立ち上がり、腕を振り上げた。
16: ◆k.HMJKcYzc[saga]
2016/09/01(木) 13:54:09.81 ID:PXsZTd9H0
スタッフが言っていたが逆転一切なし、それがボコらしい。
俺はひたすらにボコボコにされるために舞台にいた。
17: ◆k.HMJKcYzc[saga]
2016/09/01(木) 13:56:24.84 ID:PXsZTd9H0
「お疲れ様、助かったよ!」
舞台が終わると、スタッフの人が来た。
18: ◆k.HMJKcYzc[saga]
2016/09/01(木) 13:57:37.16 ID:PXsZTd9H0
「実は前のボコ担当が、その……逃げてしまって」
「逃げた?辞めたじゃなくてですか?」
19: ◆k.HMJKcYzc[saga]
2016/09/01(木) 13:58:26.22 ID:PXsZTd9H0
「人気のほどは、今日の客席を見たらわかるだろうけど、それでもボコを待つ子がいるからさ、続けたいんだ」
「……なんでそこまでボコに?」
20: ◆k.HMJKcYzc[saga]
2016/09/01(木) 13:59:06.25 ID:PXsZTd9H0
「まあ、かまいませんが、俺そんなうまくなかったですよ?」
「そんなこと無いよ!!今まで色んな人がボコを演じたけど、君が一番いいボコられっぷりだったよ!!」
21: ◆k.HMJKcYzc[saga]
2016/09/01(木) 13:59:56.83 ID:PXsZTd9H0
「まあ私でいいならお受けしますよ」
「本当かい!?助かるなぁ!!これでボコショー続けられるよ!!」
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