過去ログ - 麻子さんと世界における普遍的真実【ガルパンSS】
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7:名無しNIPPER[sage]
2016/09/01(木) 22:05:05.85 ID:Q6TLHCto0

「って、ケーキは私が作るって言ってんじゃんっ!」

 沙織がびしっ!とみほにツッコミを入れる。

「な、何で私だけ……沙織さんもケーキって言ったのに」

「とにかく全員ケーキではさすがに芸が無さすぎだと思うであります」

「私はそれでもかまいませんけれど♡」

「華の希望を聞いてるわけじゃないからね? そんなに食べたら麻子がお[ピザ]になっちゃうよ。そうなったら朝起こすのがもっともっと大変だよ?」

「それは重大な問題だね……!」

 優花里がW号を操縦して起床ラッパを鳴らし、みほが周囲を警戒、華が二階の窓から寝起きの麻子をハッチ経由で積み込み、沙織が洗面用具や制服を持って追いかけるというのがここのところの大洗の名物登校風景である。麻子が[ピザ]ると輸送、もとい搬送に支障をきたす。

「では、他のものにしましょう。沙織さん、ケーキや甘いもの以外で麻子さんが喜びそうなものを教えてください」

「うん。えっと……あれ? ……えっと、えっと……そうだなあ……」

 沙織は腕組みしながらうんうん唸り始めた。

「あの……武部殿?」

「まさか、ケーキ以外思い当たらないなんてことは……」

「うーん……それがねえ、案外……」

「ええと、去年まではどんなプレゼントをあげてたの?」

 雲行きが怪しくなり、みほは何かヒントはないかと質問するが。

「大体おばぁの家で、私がケーキ持ってきておばぁがおはぎを……」

「やっぱり甘いものばかりであります!?」

「去年まではそれで良かったんだよ! でも今年はそういうわけにはいかないじゃん?」

 麻子の友人が増えたこと自体は、間違いなく喜ばしいことなのだろう。だからこそ、その分プレゼントにも多少のバリエーションを付けなければ、やっぱり寂しい。麻子は文句を言ったりしないかもしれないけど、自分たちが寂しい。

 贈り物を選ぶために悩む時間こそが贈り物なのだと、どこかの偉い人が言っていたとダージリンも言っていた。ここはちゃんと悩むべきときなのだろう。

「うーん……ケーキ以外のプレゼントか……」

「困ったね……」

「甘いものがダメとなると、塩辛いものとか酸っぱいものならいいでしょうか……」

「そうでありますねぇ……7TPか、ティーガーか……はたまたセンチュリオンか……タグチさんのとこにあるか、確認を……」

 だが残念ながら、考える時間は長くは与えられなかった。

「こんなところで何をしている、おまえたちっ。放課後は引継をやるから来いと言ってあっただろう!」

「あ、河嶋先輩。申し訳ありません……!」

 生徒会、もとい前生徒会三役の登場である。

「まあまあ桃ちゃん。じゃあみんな、行こっか」

「悪いね西住ちゃん。ちょっと3人借りてくよん」

「あっ……!」

 思わず伸ばしかけた手を引っ込めるみほ。2学期になっても引き継ぎが終わっていない事自体が異例の遅さなのだ。生徒の管理だけではなく学園の運行全体を統括する生徒会の責任は重く、業務は幅広い。自分が足を引っ張るわけにはいかなかった。

「みぽりん!」

 前生徒会に連行されながら、見送るみほに沙織が手を振る。

「日曜日までに自分のプレゼント何にするか決めといて! これ宿題ねっ。私たちも自分たちの分、考えておくから!」

「あ、は、はいっ。……って、ふぇぇぇーっっ!?」


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