11:名無しNIPPER[saga]
2016/09/04(日) 19:03:14.50 ID:UKdWgJlR0
逃げ出さなきゃ。その一心で私は上体を起こす。
すると、アリスちゃんは私に振り返る。途端、私は心臓を鷲掴みにされた様な感覚に縛られた。
唇が震える。なのに体は一切動いてくれない。
ゆっくりとアリスちゃんが私に歩み寄って来る。
「み……ほ……ッ!!」
お姉ちゃんの声をどこか遠くで聞きながら、私の前に立つアリスちゃんに私は目を離さないでいた。
体は今までにない位に硬直している。普通なら倒れているはずだけど、前に着いた両手が柱の様に硬直していお陰で倒れ込むことはなかった。
だから、私はまるで掴み易い様に頭を差し出す様な姿になっていた。
私の顔に向けて、アリスちゃんが右手の掌を広げる。
「──死ね」
アリスちゃんがそんな言葉を呟く。
そして、アリスちゃんの右手が突き出される。
「に、しずみどのォ!!!!」
「みほさんッ!!」
アリスちゃんの右手が私を捉える寸前、優花里さんと華さんが私の体を勢いよく突き飛ばす。
私はその勢いに押されて後ろへ大きく吹き飛ばされる。
そして見てしまう。
私を突き飛ばした二人の背中に、アリスちゃんが手を添える。
直後、二人は私の前に頭から地面に倒れ込んだ。
「優花里さん……華さん……!」
急いで駆け寄ろうとしたところで、先ほどまで一切動かなかった体が少しだけ自由を取り戻している事に気付く。
そして、もう一つ気付いた事があった。
「ゆか、り……さん?」
地面に倒れた二人の横顔から、まるで生気が感じられない事に。
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