22:名無しNIPPER[saga]
2016/09/06(火) 22:03:31.00 ID:2kOsDAny0
「な……んで……?」
困惑する私の耳に、
ガァン!!!!
再び鼓膜を切り裂く様な衝撃音が響く。
まさか……。
「扉の向こう側から……ッ!?」
迂闊だった。扉を閉めれば安全なんて保障は一切無いというのに、私は相手を普通の人間だと勝手に思い込んで考えていた。
激しい衝突音は断続的に響いている。
ドン! ドン!! と衝撃音が鳴る度に重厚なはずの扉が大きく窪む。
奴が、アリスが来る……!!
私は同じく身動きが取れずにいるみほを抱きかかえたまま階下へ繋がる階段の縁へ必死に手を伸ばす。
あと少し、あとほんの少しで手が届くのに、それが叶わない。
頼む、届いて!
しかし。
ベギャン!!
後方で、一際大きな衝撃が響いた。
先ほどまで聞こえていた衝突音とは決定的に違う、絶望的な事実を告げる破砕音。
痺れる体を動かして背後を見る。
「くっ……そ!!」
そこには、肉厚な扉を貫いて伸びる小さな手があった。
貫かれた扉の穴から、大きくて丸い瞳がこちらを覗き込む。
そして、その眼はしっかりと私達を捉える。
私は必死に階段の縁へと手を伸ばす。例え転がり落ちてでも、ここから離れなければ。
逃げなければ。
逃げなければ!!
扉から伸びた手が内側にある鍵を開ける。
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