4:名無しNIPPER[sage saga]
2016/09/05(月) 21:32:03.59 ID:cg5/hhIq0
持ってきた鞄を開けて、お目当ての物を手探りで掴み取ります。普段は絶対に入っていない、紙の箱を。
ピリピリとビニールを剥がしてタバコを一本取り出し、口に咥えたまゆは昔とは違って慣れた手つきでライターを使って火を点けます。
初めての時はまったく火が点かなかったのですが、今ではちゃんと点けられます。吸いながら火を点けるなんて当時のまゆはまったく知りませんでした。
「げほっげほっ……! こほっ……」
……いくら火を点けるのが上手くなってもタバコ自体には慣れる事が出来ないみたいです。
「この日だけしか吸いませんしね……」
むせながらなんとか煙を吸い込むと、鼻の奥に懐かしい匂いが蘇ってきました。
「……ふふっ。今年もまた会えましたね」
今では年に一度しか会えない、まゆの愛しい人。まゆのすべてを捧げた人。
……まゆを置いて一人で去ってしまった人。
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