3:saga
2016/09/05(月) 23:08:05.07 ID:xnnNaHcHO
 「いやね、うちらってさ付き合い全然長くないやろ?」 
 あぁなるほどね、と瀧は頷いた。俺と三葉が出会ったのはほんの2,3ヶ月前である。 
 春には赤の他人であった筈の2人が今は恋人として鼻に触れる程近くにいる。 
 人の繋がりとは不思議なものだ。 
  
  
 「糸守ではそういう繋がりの事をムスビって言うんやよ」 
 要は運命やね、と言って三葉は少女のようにくすぐったく笑う。 
 この3つ年上の彼女が瀧にはたまらなく愛おしい。 
 触れ合った温もりを離したくなくて傍から抱くように引き寄せた。 
  
  
  
  
  
 きっと三葉は知らない。瀧が時折感じる既視感の事を。 
 特に昔の話をする時。見た事も無い景色が目の前に広がるのを感じ、あった事も無い人に対し10年来の友人に向ける様な親愛を感じる事を。 
 そうした時に瀧は体の中に何か欠落して、そのあとに埋める物も無いままの空洞が存在しているのを確かに感じるのだ。 
  
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