6:saga
2016/09/05(月) 23:12:09.82 ID:xnnNaHcHO
***
暗い部屋に射し込む光が眩しい。見ると太陽はすっかり昇りきってしまっている。
まいったなあ、寝過ぎてしまった。チェックアウトの時間には間に合うだろうか。
そんな考えを巡らせてようやく、隣に三葉の姿がない事を確認出来た。
「お連れ様ですか?先に出発された様ですが……」
「あ、そうですか……いえ、すみません」
部屋に三葉の荷物は無く、電話も繋がらない。
一体どうしたというのだろう。
その時、携帯電話が通知音を鳴らす。
画面にはテキストアプリが1つの文を表示している。
『瀧くんへ、どうしても行ってみたい所があります。先に東京へ帰っていてください。勝手ですみません。 三葉』
この文は……、俺も前に似た様な事をした事がある……!
そう、あれは5年前の……
脳の、記憶を司る海馬とかいう部分、その更に奥で何かが弾けた。
なんで! なんでその可能性に気づけなかったのか!
三葉も胸に空いた空洞を埋めようと必死だったのではないか。
俺が高木や司の、奥寺先輩の話をする時、あいつも胸の中の欠落に痛みを感じていたのだ。
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