過去ログ - 佐久間まゆ「あなたを待ちわびて」
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2016/09/06(火) 23:27:04.93 ID:RE0Y+nXd0
  
 「……」 
  
 「……」 
  
24: ◆dCFehqwTmo[saga]
2016/09/06(火) 23:38:49.67 ID:RE0Y+nXd0
 あなたは何も話さない。 
 ねえ、あなたに出会ったあの日のこと、覚えていますか?わたしは今でも覚えていますよ。 
 読モ時代、スタッフさんの厚意で広島に旅行したときのことでした。 
 景色に見とれていたわたしがあなたにぶつかったとき、あなたをひと目見たあの瞬間……! 
 それは、なんと名付ければよかったのでしょう。 
25: ◆dCFehqwTmo[saga]
2016/09/06(火) 23:39:48.84 ID:RE0Y+nXd0
  
 「……」 
  
 「……」 
  
26: ◆dCFehqwTmo[saga]
2016/09/06(火) 23:48:36.49 ID:RE0Y+nXd0
 わたしはあなたの声を待つ。 
 あなたがいて、わたしがいる、ふたりきりの六畳一間で。 
 それは、一瞬のようでいて、永遠にも等しいと思うような時間。 
 ただ、あなたを待ちわびるこのひとときに、いつまでも浸っていたい。 
  
27: ◆dCFehqwTmo[saga]
2016/09/06(火) 23:50:10.46 ID:RE0Y+nXd0
  
 ずっとこのまま、ふたりきりでいられたらいいのに。 
  
  
28: ◆dCFehqwTmo[saga]
2016/09/06(火) 23:52:40.67 ID:RE0Y+nXd0
 ふと、わたしの心の中でそんな思いを……バラのとげのような心の痛みを感じる。 
 時間が止まってくれれば……。ずっと、ずっと……変わらないわたしとあなたでいられたら……。 
 別れの時なんて、永遠に訪れなくてすむのに。 
  
 そう、ぼんやりと思ったとき。 
29: ◆dCFehqwTmo[saga]
2016/09/06(火) 23:55:09.45 ID:RE0Y+nXd0
  
 〜♪ 
  
 ……静寂を破ったのは、わずかに階下から聞こえる音楽だった。 
 わたしの知らない曲。 
30: ◆dCFehqwTmo[saga]
2016/09/06(火) 23:57:02.44 ID:RE0Y+nXd0
 「……『きっと忘れない』」 
  
 あなたは不意に、そう呟く。 
  
 「そうか、……そうか。もう、そんな時間か」 
31: ◆dCFehqwTmo[saga]
2016/09/06(火) 23:59:01.74 ID:RE0Y+nXd0
 あなたは壁にかかった時計を一瞥し、合点がいった様子でわたしのほうに向きなおる。 
 わたしはその様子をぼんやりと見ていた。 
 そして、あなたとわたしの視線が合う。 
  
32: ◆dCFehqwTmo[saga]
2016/09/07(水) 00:00:00.20 ID:2DraFmi40
  
  
 「……まゆ、お誕生日、おめでとう」 
  
  
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