56:名無しNIPPER[saga]
2016/09/08(木) 23:42:03.72 ID:eYxaThCG0
少年との距離が0になった時に、少年は小さな声で言った。
「ターゲットが油断するときってさ……」
その時点で少年が何を言うか私には分かってしまった。
「……人を殺してるときなんだよ」
……やっぱり。
最初にこの少年が現れたとき、何も無いところからいきなり現れた。
私が宇宙人に殺されかけた後、私があの宇宙人を殺した後すぐに。
まるで計ったようなタイミングで。
……私が殺される瞬間を待っていたんだ。
そして私があの時、宇宙人に殺されていたら、その間に宇宙人を仕留めるつもりだった。
この少年に対し、私の心が冷えていくのを感じる。
「……おまえ、俺らが……あのヘンなのに襲われてるときも……どっかで見てたのか?」
「ああ、ヤクザのおっさん、ハデにぶっとんでたな」
「……お、おまえ、目の前で……人が死んでいても……なんとも思わないのか?」
「知ったこっちゃないって、他人が生きようが死のうが」
少年が男を煽る。
「なに? そんな顔して俺を殴りたいの?」
煽る。
「お前、偽善者くせーんだよ。こん中で一番偽善者くせー!」
煽り続ける。
「なあ、偽善者! 偽善者!!」
少年の言葉に、完全に切れたらしく男が少年に掴みかかった。
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