過去ログ - モバP「白菊ほたると一輪の笑顔」
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13: ◆U7CecbhO/.[saga]
2016/09/07(水) 13:00:43.27 ID:QSjMH8mi0
「あの……笑顔の練習、付き合ってもらえませんか?」
ライブの一件からしばらくして、ほたるちゃんはレッスンの休憩中に、唐突にそう言った。
「小さい頃から、いつも困った顔してるって言われて……」
俺が応える前にそう付け足して困った表情を浮かべるほたるちゃん。断る理由なんてあるはずもなく、俺はいいよと頷いた。
笑顔の練習は三日に一度の頻度で行われた。なかなかどうして、意識して笑顔を作るのは難しい。
「どうですか?」
「いや、それは駄目だと思う」
初めは歪な笑顔だった。悪意的にさえ見える。
「なにか、楽しかった記憶を思い出すとか」
「楽しかった、思い出……?」
愕然とした表情を浮かべられて、俺は戸惑う。これからはもっと楽しませていかなくてはと心に強く決めた。
「じゃ、じゃあ、面白いこととか」
うーん、と首を傾げて見せたが、なにか思いついたらしい。あっそれなら、と俺の顔を見つめた。
「最初のプロポーズ、ちひろさんに頭を叩かれてたのは面白かったです」
「面白くないよ!?」
「……面白かったです、ふふ」
と、小さく、だけど自然に。とても、可愛らしく微笑んだ。
「ストップ! それだよそれ!」
「えっ? あのっ、それ?」
静止虚しく、ほたるちゃんの微笑みは困り顏に戻されていく。この表情は形状記憶なのではなかろうか。
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