11:名無しNIPPER[saga sage]
2016/09/07(水) 23:15:19.45 ID:4GoJhFxk0
「Pさん……」
「ん? どうした、佐久間?」
「――っ! い、いえ、何でもありませんよぉ」
周りにいる娘たちが不思議そうな視線を向けてきたり、事務員のちひろさんがこちらを見てため息をついたりしていますが、生憎とまゆにはその視線に答えてあげることはできません。
辛くなって、自分自身がいたたまれなくなり、まゆは自分から入り込んだにも関わらず、この場から逃げ出そうとしました。
しかし、腕を掴まれたと思って振り返ってみれば、そこにはPさん――ではなく、ちひろさんが立っていました。
「皆さん、もう休憩の時間は終わりますよ! Pさんも忙しいんだからあんまりじゃれつかないように!」
ちひろさんは少し大きな声で他のアイドルたちにそう言うと、まゆに向き直りました。
「"まゆちゃん"はこの後Pさんと打ち合わせですよね。握手会、頑張ってくださいね」
「……はい……ありがとうございます」
ちひろさんからすればまゆを思った激励の言葉なんでしょう。でも、今のまゆにとっては逆効果でしかありません。
そう呼んでほしいのは、あなたじゃないんです。
十分後、Pさんのお仕事がひと段落付き、打ち合わせが始まった――のですが。
昨日と同じく、まゆがPさんの言葉を理解し呑み込むことはありませんでした。
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