過去ログ - モバP「佐久間」
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2:名無しNIPPER[saga]
2016/09/07(水) 23:06:45.04 ID:4GoJhFxk0
「……で、開始は8時だから少なくとも6時にはここに――って聞いてるか?」

「……? ――っ! す、すみません、ぼーっとしてました……」

「しっかりしてくれよ? いくら小さなCDショップとはいえ、初の握手会なんだ。ここでしっかりファンの心を掴んでおかないと」

「……」

「……資料を渡しておく。明日また説明するから、今夜は家でじっくり読んできてくれ」

「あっ……」



 まゆから視線を外しながらそう言うと、Pさんは他の子の送迎のために事務所から出ていきました。

 残ったのはまゆと、まゆが行う初の握手会の資料。
 そう、明後日はまゆがアイドルになって初めての握手会なのです。
 これまでPさんと幾度となく打ち合わせを続けてきました。
 まゆの立場になってみれば、恐らく大抵の人が緊張で押しつぶされそうになるでしょう。体調を崩す人も珍しくないかもしれません。
 でもまゆの中には、そんな緊張も霞むほどの困惑と悲しみの感情が渦巻いていました。

 まゆの中にこの二つの感情がはっきりと表れたのは、今から一か月前のことでした。


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