過去ログ - 澪「シンクロナイズドドリーミング」
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39:名無しNIPPER[sage saga]
2016/09/09(金) 16:56:26.12 ID:ROM1DOs8o
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――それからあっという間に半月以上が過ぎた。
さすがにこれだけ経つと、以前と比べて変わった事が多い。
例えば世間はクリスマス前の慌しさに染まっている。
前は街中の飾りを見る度に気が早いな、と思っていたけれど、今は本当に目前だからそんな事は言えない。
今年のクリスマスはどう過ごそうか。出来れば唯と、とは思うけど。
私と唯の関係は、言葉にこそ出していないもののお互いに「相手に好かれている」と自信が持てる程度には進んだ。
唯は私と喋るだけで嬉しそうにしてくれるし、きっと私もそうだろう。黒唯もそう言っているのだから間違いない。
そして、黒唯。
私と唯がゆっくりやると決めたあの日から、彼女は唯になりきる事がめっきり減った。予習と称して演じる事をしなくなった。
もちろん、私の映し身として反省には付き合ってくれている。キューピッドを放棄した訳ではない。
単にずっと黒唯のままなのだ。だから今となっては彼女が「私」と言えばそれは唯を指すのではなく黒唯を、あるいは中の『彼女』自身を指す。
そのあたりが最初の頃とは結構変わってしまった。もっとも、それ自体に不満はない。彼女と話すのは楽しいし、唯に会いたいのなら現実世界で会えばいい。
ただ、以前は『唯』と『彼女』の間に居たに過ぎない『黒唯』が表面化した今、『唯』になりきらなくなったのと同様に『彼女』も表に姿を見せなくなった。
それが少し寂しい。もっとも、黒唯の中身がほとんど『彼女』なのはわかってるんだけど・・・それでも寂しいのは、何故だろう。
**
そんな12月22日、終業式の日。我々軽音部の今年最後の部活の時間に、律が突然何かを取り出しながら立ち上がった。
律「クリスマス会のチラシを作ったよー!」
澪「あれ? クリスマス会ってやることになってたの?」
律「誰にも言ってないけどね!」
澪「言えよ」
まあ、クリスマス会自体には反対しない。出来れば唯と、なんて思っていたのも確かだけど、皆をないがしろにするつもりもない。
でもやっぱりもっと早く言えよと思う。特に場所をムギの家に勝手に決めるなんて・・・
紬「あの・・・その日はうち、都合悪いの・・・」
ほら。まあムギの家は特例な気がするし、律もダメ元だったみたいだけど。
紬「りっちゃんのおうちはどう?」
澪「あー、ダメダメ。律の家は汚くって足の踏み場もないから」
律「何だとーッ!? 澪の部屋なんか服が脱ぎ散らかってるくせに〜。パンツとか」
澪「うわぁッ!? まッ、真顔でデタラメ言うな!」
脱ぎ散らかす事が一切無いとは流石に言えないけど、常日頃からちゃんと片付けてるぞ! 来客がある日なんか特に念入りに!
例え付き合いの長い律が相手だろうとそれは一緒だし、それに何よりそもそもパンツは脱いでない!
唯「えっ、澪ちゃんって家では裸族なの?」
律「おうよ、証拠は写真にバッチリ」
澪「ウソつけ〜!」
唯「見せて見せて〜」
なんで唯はそこで食いつくんだよ!
まあ、結局律が自慢気に取り出したのはパンが二つのアホらしい写真だったから良かったけど。
っていうかなんでこんなのを仕込んでるんだ、律は・・・
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