過去ログ - 澪「シンクロナイズドドリーミング」
↓ 1- 覧 板 20
8:名無しNIPPER[sage saga]
2016/09/09(金) 16:03:38.14 ID:ROM1DOs8o
***
確かに、初めて会った時から、どことなく放っておけない子だとは思っていた。
よく喋り、よく笑い、見ていて飽きない子であると同時に、集中力があまり無かったりギターについて何も知らなかったり勉強が不得意であったりと危なっかしくもあった。
そんな良くも悪くも目が離せない子なんだ、唯は。
そして私はよくそんな唯の世話を焼いていた。
誰かを助けるのは嫌いじゃない。人を引っ張っていくことは苦手だけど、誰かを支えることは嫌いじゃない。
楽器も迷わずベースを選んだくらいだ、私はきっと根っからのサポート体質、縁の下の力持ちタイプなのだろう。少なくとも性格的には間違いないはず。
だから唯の世話を焼くことも苦じゃなかった。唯はいつも笑顔を返してくれるから世話の焼き甲斐もあった。
最初から居心地のいい関係だったことは疑いようが無かった。
でも、そんな唯があの日、私の目に眩しく映ったんだ。
光の中でギターをかき鳴らす唯。
その姿はまばたきすら許さないほどの眩しさで、そこに私は光り輝く未来と、夢と幻を見た。そして魅せられた。遠い未来に立つ唯に。
そして光が消え、未来から現在に戻ってきてからも、唯は可能性を私に見せ続けてくれた。
未来の唯は、私を魅了する憧れの存在だったと言って差し支えない。
反して現在の唯は憧れるほどではない・・・けど、未来に向かって共に歩みたい、ずっと共に高め合いたいと心から思える存在になった。
要するに、この時から唯を見る目がちょっとだけ変わった、ということだ。
だから、その日の終わりの露天風呂で楽しかったと言われ、手を取られて私のおかげだと言ってもらえた時、許しをもらえた気がした。唯の隣にいることの許しを。
隣にいていいよって言われた気がした。いてほしいとまでは言われていなくとも、少なくとも自分に資格はあるのだと、そう思えた。
・・・きっとこの時が始まりだったのだろう。今にして思えば。
75Res/157.30 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。